何か心に芽生える物

『こんばんは、 始めまして』


 ありきたりの挨拶、 これで反応が無ければAFKであろうし、
居なかったら明日にしよう・・・・・・と何時までも逃げ道を作りながら行動しています。


『こんばんはー』
『えっと・・・・・・あの、 今たまり場に居るのですけど』
『あ、 ギルド募集の方かな?』
『はい、 そうです』
『ごめんね、 今ターボトラックでギルド会しているんだ〜』


 ・・・・・・ターボトラック?
ほとんど巡ったギルドでは、 ギルドで行う事は狩りと決まっていた為か、
ターボトラックで一体何をしているのかあまり考え付きませんでした。


『何だったらおいで〜、 まだやっているからさ』
『あ、 はい。 分かりました』


 何故即答できたのか、 その時は良く分かりませんでした。
ただ何か、 話してみたい・・・・・・・と思っていたのです。


『なら待っているね〜』
『はい、 直ぐに向かいます』


 ワープポータルは、 ウンバラ、 エルメスプレートなど狩りに実用的な場所しか無く、
カプラサービスでゲフェン、 アルデバランと転送してもらいます。



 ターボトラックはアルデバラン西に作られている、 大きな室内運動場・・・・・・と言うのでしょうか。
室内にそれぞれコースが設置されており、
それを順序に走りぬけ最初にゴールした人の勝ち・・・・・・というシンプルなものです。


「あ、 ここだよ〜」
「はい、 分かりました」


 ギルドメンバーの中心で、 その人は手を振ってくれました。
ソフィアエスティード、 ☆EINHERJAR☆のマスター。


「ギルドの事について説明するからおいでー」
「あ、はい」


 ギルド員の方に一言二言言葉を交わし、 私の方へと向ってくる。


「中に入ってね」


 私が頷くのを確認すると、 チャットを立ててくれる。
おそらく聞き辛い事を考慮して、 一対一で説明してくれるのでしょう。



「改めましてこんばんは、 私がここのマスターだよ」
「こんばんは、 始めまして。 ユナ ミストレルと申します。
INT>DEX型の極支援型プリーストです」


 落ち着いているマスターに対し、 完璧に緊張しているのと同時に身構えている私。
初めての人に話す事は、 私は不得意ではありません。
そうでも無ければ臨時広場をフラフラなどできない。
ただその時は必要以上に言葉を捉えようとしていたのかも知れませんでした。
チャットで感じた、 話してみたいという直感は本当に正しいのかどうか・・・・・・と。


「あはは、 あまり緊張しないで良いよぉー」
「いえ、 私はこれが普通ですので」
「そう? それなら良いんだけどね」


 気さくで話しやすい人だと、 私は話していて感じました。
ギルドに関しての説明は、 何度も繰り返して分かりやすいように説明して下さいました。
数分ギルド内のレベルや職業、 GVについての説明が一通り終わった時。


「あ、 このギルドの規約について説明するね」
「規約・・・・・・ですか?」
「そうだよ」


 その言葉を聞き、 私は体が少し強張りました。
確かにGVは自由参加と説明されていましたが、 GVに出なくても本拠地で支援する事は出来ます。
もしこの規約が、 GV関係の事を強制するものだったら・・・・・・そう考えていたのです。
しかし、 それがただの杞憂に過ぎない事となりました。


「1つ、 マナー違反はしない事。
2つ、 体調不良や用事がなければギルド集会には出る事。
3つ、 この世界の法律を守る事だよ」
「・・・・・・それだけですか?」
「うん、 それだけ」


 ハァ・・・・・・
そう大きく息を吐き出す。
肩の力が抜け、 座っているのだが脱力して寝てしまいそうになりました。


「何だ・・・・・・当たり前の事じゃないですか・・・・・・」
「そ、 でも守れない人が居るのも事実でしょ?
だからわざわざ規約にしているの。 楽しいギルド生活が送れるように・・・・・・・そう思ってね」
「・・・・・・・・・・・・」


 この時、 私はもう考えは決まっていました。
心で感じた(何か)は、 確かにこの人にあるのだと。
それが何なのかははっきりとしていません、 ただ私の直感は今まで間違えた例はありませんでした。
それに変に頭を使うと間違える事が多いのも事実でした。


「体験・・・・・・という事で宜しいでしょうか?」
「うん、 勿論だよぉー・・・・・・今日から1週間ぐらいで一応ギルドに入るか、
まだ体験を続けるか聞くからねぇ。
あ、 ただ答えは急いで出さなくて良いよ」
「はい、 分かりました」


この時、 何故体験でギルドに入ったのかと言うと、
また何かの拍子で突発的に抜けてしまう恐れがあったからでした。


「さて、 それじゃあ改めて宜しくね」
「はい、 宜しくお願いいたします。 マスター」


 微笑みながら渡してくれる書類にサインします。
自分がこのギルドに所属するという事を証明する書類です。


『おーい、 ギルドに新人さんが入ったよぉー。
プリーストのユナさん、 みんな仲良く(*´・ω)(ω・`*)ネー』
『ユナ ミストレルと申します。 まだまだ若輩者ですが、 宜しくお願いいたします』


 この日から、 ☆EINHERJAR☆のメンバーとしての生活が始まりました。


編集後記

今まで書いていたグラストヘイム大戦はフィクションであり、
登場する人物、 及び団体名は本物と一切関係ありません。


 と最初に書いて置く事を忘れてどうしようかとあせった私でした。
偽名を使っているのですが、 分かる人は分かると思います。
ほとんどが私のキャラクター名の一部を、
抜いたり足したり変えたり・・・・・・etcetccで書き上げたものだったので、
ほとんど緊張感なんてなく気軽に書けたのですが、
今回からは自分の子と、 自分が所属させて頂いているギルドの事を書くことになりました。


 ・・・・・・いえ、 ネタが尽きた訳ではありませんよ?
ただ短編をダラダラやったとしても、 飽きるかな・・・・・・と思いまして。
マスターに相談した所、
『だったら私達と自分を書けば良いんじゃない?』とのご助言を頂きまして・・・・・・
それから書く事になったのですが、 正直緊張しています。
えっと・・・・・・まだまだ未熟な場面も多いと思いますが、 温かく見守ってください。
ではこれで失礼しました。


追伸
マスターには出演許可頂きました。
この場を借りましてお礼申し上げます。
ありがとうございました。