魔術協会からの任務

「アルグラム、 ゲフェン魔術協会から任務だ」
「・・・・・・今日は非番なハズなんですけど・・・・・・」
「今日は急遽戦いなれた者が必要でな。 君ならある程度なれているだろう?」
「・・・・・・まぁ、 否定はしませんけど」
「なら決まりだな、 本日午後1時にプロンテラ北門に行きたまえ。
詳細はこの書類に書かれている事と現地に居る聖騎士に聞いてくれれば良い」
「はぁ・・・・・・了解しました」


 少し不機嫌に返答し、ゲフェン魔術協会からの使いを帰らせる。
ゲフェンの爽やかな朝、 本来なら今日は仕事がない為、
首都にでも行って露店でも見てこようかと思ったんだけどな・・・・・・
その直前に仕事が来るなんて、 なんていうか最悪な日だな。


 朝食を取りながらその任務について書かれている書類を読む。
何でもプロンテラ北で有名な『迷宮の森』から、
怪しい魔力が感じられるらしく、 その原因を探って来る事らしい。


「ただの偵察じゃないか・・・・・・私以外でも出来そうなんだけどなぁ」


 まぁ、 迷宮の森と言えば上級の狩場でもあるし、
下手に足を踏み入れれば永久的にその場を歩き回る事になる程複雑な場所だ。
ただ何が起こっているのか調べに行くにしろ、 そんなに軽い気持ちで入れる場所では無い。


「・・・・・・ん?」


 書類を読み進んでいくうちに奇妙な文を見つけた。
今回共に仕事をする聖騎士についての報告と、 推定される状況についてだ。


《聖騎士 アリス アラモード
 実戦経験はあまり無く、 今回が初の実戦となるであろう聖騎士。
理論上では魔物を知ってはいるであろうが、 本物のプレッシャー等の経験は少ない。
対人訓練、 筆記試験などの成績は良好であるが、 実戦で実力が出せるか不明。》


《今回の目的はあくまで調査であり、 戦闘によっての原因排除では無い。
出来る限り戦闘を避け、 調査を完了する事を主目的とする。
なを、 万が一戦闘になった場合は出来る限り聖騎士のフォローをして貰いたい。》


「・・・・・・あのギルド員・・・・・・」


 簡単そうな任務みたいに言って押し付けたな・・・・・・
何故朝、 しかも私がまだ完全に起きていない時間なのか良く分かった。
完璧に覚醒していたら、 任務について説明を求めてくるからだろう。
そうしたらこんなに面倒そうな任務なんて受けないに決まっているからだ。


「・・・・・・今からでも魔術協会に付き返してこようか・・・・・・」


 そう思ったのが後の祭りだという事を直ぐに知ることとなる。
その書類の最後に小さく書かれていたからだ。

《追記
 任務を受け取った時点で聖騎士には連絡する。
任務放棄したら・・・・・・どうなるか分かっているよね?》


 との事だ。
・・・・・・手回しが良い事で・・・・・・
ついでに聖騎士は貴族、 私のようなウィザードは一般庶民の階級だ。
連絡を受けた者が来なかった場合は侮辱となり、
斬られたとしても文句が言えない状況だろう。
貴族にとって名誉は最重要ものだからな。


「ふぅ・・・・・・選択肢はひとつ、 という事か」


 呟きながらトーストをかじる。
何だか味がしないような気がしてきた。







続く