「カズヤ・・・・・・?」

 自分の家に戻る際、 玄関付近に誰か立っているのは見えた。
だが、 それがカズヤだとは思いもしなかったのだ。


「リヴァルさん、 大丈夫ですか!? 血が・・・・・・」
「あ、 あぁ・・・・・・平気だ。 安心しろ」


 私がカズヤが居るとは思いもしなかった驚きより、 血に染まっている私を見て慌てて心配してくれるカズヤが嬉しかった。


「平気だ、 これは全部返り血なのだから・・・・・・それより、 カズヤは何処から帰ってきたんだ?」
「あ、 はい。 北門から出たのですけど、 帰り道でまた迷ってしまって・・・・・・東門から帰ってきました」
「・・・・・・そうか、 なら良かった」
「何かあったのですか?」
「・・・・・・いや、 別に何も無いさ」
「? はぁ・・・・・・そうですか」


 無用な事は言わなくても良いだろう。
カズヤは巻き込まれなかった、 その事実だけで十分だ。


「そういえば、 まだノービスなのか?」
「はい、 出来ればリリィさんに見ていただきたいと思いまして・・・・・・待っていました」
「・・・・・・そうか、 わざわざすまないな・・・・・・少し客間で待っていてくれ。 直ぐ着替えてこよう」
「あ、 いえ。 急がなくても・・・・・・」
「それでは夜になってしまう、 急いでくる」


 カズヤは昨晩私の家に泊まっていた、 だから場所も分かるだろう。
玄関で執事が出迎え、 私の姿を見て少し驚くが


「心配ない」
「かしこまりました、 直ぐにお洗濯致します」
「頼む」