カピトリーナ修道院

「あれー? また同じ場所かなぁ・・・・・・」


 プロンテラ北口より出てから数時間、 同じような森林地帯を抜けて海が見える付近だって聞いたんだけど・・・・・・
ここはいったい何処なのだろう?
植物の魔物であるマンドラゴを避け、 なるべく障害を避けながら進んでいるのだが・・・・・・一向に海など見えない。


「えーっと・・・・・・こっちは違うんだからこっちに行って・・・・・・・」


 しばらくしてまた歩き出したのだが、 また彼が元の場所にまで戻ってくるのはその数十分後であった・・・・・・



「・・・・・・大丈夫なのだろうか?」


 聖カピトリーナ修道院はここから歩いて3時間ほどである。
どんなに迷っても行き帰り8時間で行けると思ったのだが・・・・・・
現在の時刻はそろそろ日が落ちてくる午後6時。
送り出したのが8時30分だったはずだからほぼ10時間は経過している。


「やはりついて行くべきだっただろうか・・・・・・」


 いや、 一人で頑張ってみたいと言ったのは彼自身の意思だ。
それを見守るのもまた彼自身が強くなるために必要な事・・・・・・
そう言い聞かせているが、 どうも心配でならない。


「リヴァル様、 失礼致します」
「ん? 神父様・・・・・・何か御用ですか?」


 目の前にアコライト転職を任せられているマルシス神父が立っていた。
普段なら足音で気付くのだが、 考え事をしていた今は気がつけなかった。


「修行僧のルバルカバラから連絡が届きました。 カズヤ ムーンライト君が尋ねてきたそうです。
これからプロンテラに戻します・・・・・・とね」
「真ですか?」
「はい、 これが証拠です」


 神父の差し出してきた紙面には、 しっかりとカズヤ ムーンライトの名前が書き連ねられていた。
全く・・・・・・心配をかけさせて。


「ありがとうございます、 本来でしたら機密事項でしょうに・・・・・・感謝いたします」
「いえ、 それでは・・・・・・」


 穏やかな笑みを浮かべ、 彼は元居た場所へと帰っていく。
少し肩の荷が下りた気分であった。
あとはカズヤが帰ってくるのを待っているだけ・・・・・・


そう、 大聖堂職員が駆け込んでくるまでは。


「司祭様! 北門付近に魔物の群れが突如現れました!!」